魔海造されしグランドピアノ プリペアードピアノとは?
見た目はグランドピアノ。しかしてその中身は…
そのまま日本語に訳せば 『 準備されたピアノ 』。
意訳すれば 『 (色々な物が)仕込まれたピアノ 』ということになるのでしょうか。
プリペアードピアノとは、
グランドピアノの弦の部分に色々な物を仕込んで音色を変えたピアノなのです。
見た目は完全にただのグランドピアノですが、しかしその中には色々と無茶な改造が施されています。
プリペアードピアノに仕込むもの
とにかく色々な物を仕込みます。
ゴムはわかりますね。普通の楽器でもミュートなんかにも使われたり色々です。
が、ゴムの他にもネジやらボルト、フォーク、スプーン…etc
要は身の回りにあって狙った音を出すために使えればなんでもありなのです。
こんなことしていいのだろうか、とか思わなかったんでしょうか…
こういったものを仕込むことを 『 プリパレーションを施す 』 と言ったり 、 『 プリペアする 』 などと略したりします。
打楽器の様な音やら全然別の弦楽器の音色、電子音のような音など多彩な音色に組み替えることが可能(というか目的)です。
グランドピアノ一台でかなり多彩な音を出せるようになるため、現代音楽でも結構重宝されている大真面目な楽器です。
使わない音=プリパレーションが施されていない部分を奏者がミスタッチで弾いてしまい普通のピアノの音が出てしまうため、使わない鍵盤の弦は音がでないようミュートを施すこともあります。
当然こんな無茶な改造を施せば音程も音色も不安定になってしまいますし、音色の調整に相当時間がかかる、大がかりな改造です。
そのためか、立派にピアノとは別楽器として扱われています。
一部のみの音域のみをプリパレーションを施すこともあり、その場合は『 プリペアされたピアノ 』という風に呼ばれることもあるようで、区別の線引きはかなりあいまいなようですが。
アップライトピアノは弦を縦に張っている構造上、弦に物を挟んでも落ちてしまうので難しく、プリペアードピアノとして使われるのは通常グランドピアノのみです。
その音色等については動画がありましたので是非ご覧ください。
とてもピアノの音とは思えませんが、打楽器の様な音も電子キーボードの様な音も全て、一台のプリペアードピアノで出しています。
プリペアードピアノの誕生と歴史
話だけ聞くとなんともふざけたような感じですが、全然ふざけてはいません。
1940年、ジョン・ケージという作曲家が考案しました。
仕事でダンス用音楽の作曲を依頼されたジョン・ケージは打楽器アンサンブルによる曲を考えていましたが、どうしてもステージの演奏スペースの制約上打楽器をたくさん並べるのは無理がある。
そこで、グランドピアノにこんなむちゃくちゃな改造を施した、ということのようです。
その後もプリペアードピアノは現代音楽のシーンに愛され、プリペアードピアノのための曲がいくつも作られています。
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